高血圧と動脈硬化

高血圧専門医と循環器専門医です。 高血圧と動脈硬化についてわかりやすく解説します

血圧の測り方 ③手首の血圧計は正確ではないのか?

前回,

手首の血圧計よりも腕の血圧計の方が正確である。

というお話をしました。

では,

手首の血圧計は正確ではないのでしょうか?

 

f:id:kandk129:20160918121923j:plain

もちろん,

測定の誤差は一定範囲内に収められており,

機械的には正確である

と思います。

 

しかし,手首の血圧計には

以下の4つの問題があります。

 

 ①心臓の高さ

「血圧は,心臓の高さで測定する」

という原則があります。

低い位置で測定すると血圧は高くなり,

高い位置で測定すると血圧は低くなります。

 

心臓の高さとは,だいたい,

「乳頭(乳首)の中間地点」

くらいです。

 

f:id:kandk129:20160925194843j:plain

 

腕で血圧を測定する時には,

カフ(巻く部分)の位置は一定しており,

だいたい心臓の高さに合うようになっています。

f:id:kandk129:20160904003640j:plain

手首の血圧計は,

腕の位置によって高さが変わるため,

不安定になりがちです。

f:id:kandk129:20160925192020j:plain

 

②解剖学的特性

高血圧ガイドラインには,

手首の血圧計は解剖学的特性により不正確になる

と書いてあります。

 

手首というのは,手先が細かい作業を行うために,

とても複雑な構造をしています。

 

手首には橈骨,尺骨という2本の骨があります。

親指側の骨を橈骨(トウコツ),

小指側の骨を尺骨(シャッコツ)

と言います。

f:id:kandk129:20160925194201j:plain

このそばを尺骨動脈,橈骨動脈という

2本の血管が走っています,

 

手首で血圧を正確に測るためには,

この2本の血管を

血圧計によるカフの加圧で

まったく同時に,

また同等に

遮断しなくてはなりません.

f:id:kandk129:20160925193549j:plain

これはとても難しく,

ちょっとしたことでずれてしまいます。

そのために不正確になりがちです。

 

 

 ③血管の太さ

血圧は

血管を圧迫する時に触れる圧力

を調べることで測定されます。

そのため,

十分に血圧を圧迫できなければ

正確な血圧にはなりません。

 

一般的に,

心臓に近いほど血管は太く,

先に行くほど血管は細くなります。

 

腕で測定する時に圧迫する

「上腕動脈」は

手首で測定する時に圧迫する

「橈骨動脈,尺骨動脈」

の2〜3倍ほどの太さがあります。

 

 

④見ている血圧が違う

下の図は,

「血圧の波」を表したものです。

f:id:kandk129:20160925193307j:plain

形がそれぞれちょっと違いますよね?

 

原則として,

心臓から遠くなるほど

血圧は高くなりますが,

そもそも

腕で測る血圧と

手首で測る血圧は

違うものを見ているのです。

 

心臓疾患や脳梗塞を引き起こすといわれる高血圧は,

そのほとんどが

腕で測った血圧

で測定されたもので

調べられています。

 

 

以上の理由により,

機械的には正確でも,

血圧測定としては不正確です。

血圧を測る時には

腕で測る血圧計

をお勧めします。